ミックス・ダウン

３科C班制作部所属のオカベだ。



撮影から時が経つと、再びあの現場が恋しくなる。



殺伐とした部屋にいると、新しいロケ地を探しに行きたくなる。



いや、毒食わば皿まで。まだ、終わるわけにはいかない。

《次回予告》



三ヶ月にもおよぶ実習が終結する
最後の戦い
音の収録に投入される時間、一億二千万秒！
毎秒費やされる電力四十五A！
四日続けばオカベの銀行口座が吹っ飛ぶ
だが得られる物からすれば蚊の涙
ささやかなりと野心が嘯く
次回、音響動議
３科実習でPが犯した最大の誤り、それはやつを敵に回したことだ！！

音獄

３科C班制作部所属のオカベだ。



棒つきラッシュだ。



音のついた映像。
録音部の力量が試される。



目には見えざる音を相手にした戦いが始まる。



頼りになるのは己の聴覚と、



積み重ねてきた経験しか、ない。

《次回予告》



行くか逃げるか
バラバラになるか固まるか
その間にある限りなく薄い不安定な一線
震える恐怖と才能がその臨界を探る
信じるか、信じられるか
賭けるか、賭け切れるか
ギジュツサンカC班、俺たちはここまでこの鉄の撮影隊に運命を託してきた
だからこそ
次回、ミックス・ダウン
しかし、生き延びたとしてその先がパラダイスのはずはない

潜伏

３科C班制作部所属のオカベだ。



仕上げP会議だ。


伝統のじゃんけん大会が始まる……。



この時、最後の戦いの日時が定まった。



《次回予告》



監獄に監禁と隔離を求め、完璧さを追求すればここにある
ここには高い塀もなければ、深い堀もない
高電圧の策もなければ看守さえいない
あるのは淀んだ大気と汚れなきMACのみ
-80db
吐く息どころか衣擦れさえも録る
音をくれ…
マイク鳴りを消す音をくれ！！！
次回、音獄
恨みつらみの言葉さえ録音する

異能

３科C班制作部所属のオカベだ。



ついに奴が制作部にやってきた。



演出部のルリを苦しめ、悩ませ続けてきた、アイツが。



そう、予定。



一度たりとも、失敗することは許されない。

《次回予告》



不安と猜疑、欺瞞と弁明
閉塞教室に絡み合う異能の因子
利己的に、利他的に
そう、それは生存を賭けてせめぎ合う、巧妙に仕掛けられた絶対の危機
五感を引き裂かんと、予定を突き抜ける過去からの銃弾
怯える魂がそっと呟く
あいつもこいつも俺の盾になればいい
次回、 潜伏
これも一つの学習か

審問

３科C班制作部所属のオカベだ。



静かな日常が再びC班に訪れた。



自分が学生であることを思い出させてくれる、一時の瞬間。



だが、次の試練がゆっくりと、だが確実に忍び寄っていた。



《次回予告》



この時点で警告だと気づかなくてはいけなかったのだ
時間がほしいとなど言ったことはない
むろん安息がほしいなど考えたこともない
ましてや願い事など聞く耳も持たない
過去もなければ未来をも思わない
だが一つだけ確実になしてきたことがある
それは自分の意思を阻害する者を抹殺すること
これだけは誠実に実行してきた
次回、異能
ただの一度も仕損じたことはない